[結論]
給料が上がるからといって、安易に喜ぶにはまだ早い。実際の物価の上昇率と賃金上昇率がどうなのか、比較すること。
今後も物価上昇が続くと考えられ、それも考慮することが重要。
①物価の上昇を見る指標って?
最近、よく聞く「物価上昇率」何を見ていっているのかというと、総務省が公表している「2020年基準 消費者物価指数 2022年12月分」を見ている。(最新では)
この結果を見ると、
消費者物価指数(CPI)の
前年同月比 +4・0%
消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)(コアCPI)前年同月比+4・1%
消費者物価指数(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)(コアコアCPI)
前年同月比+3・0%
生鮮食品(魚介、野菜、果物)やエネルギーを除いたものなどの指数があるのは、この指数へのインパクトが大きいから。
天気などの影響を受けて価格も大きく変わる。エネルギーも需給や天候などにより影響を受けて、価格が大きく変わる。
だから、ニュースなどを見て聞いて「物価上昇率(インフレ率)は+4・0%でした」と言ったとき、どの数字のことを言っているのか、注意深く確認することを忘れないように。
②例の会見で・・・
2023年1月4日の年頭の記者会見で、岸田首相は、賃上げについて「インフレ率を超える賃上げをお願いしたい」とのコメントを発表した。
これを聞いてあなたはどう思いましたか?
「やったー、給料が上がるんだー」と喜んだ人もおられるでしょう。気持ちはわかります。
これまでは、物価上昇率程度の賃金上昇しかしていなかったのですから。でも、今回の首相は、「物価上昇率を超える」との発言があったので、期待して当然でしょう。
消費者たちは最近、次々と発表されている商品の値上げにかなり危機感があります。
これまでは、企業がかなり頑張ってきて、製品の原材料などの価格の値上がりが以前から続いており、それを商品の価格に転嫁せずに、耐えていた。
しばらく、消費者物価指数は2~3%でした。企業物価指数は9%とかでした。企業は限界にきていたため、22年の後半から相次いで値上げの発表が行われたのです。しかも今後もしばらくは続きそうです。
③首相の発言に経団連は?
首相の発言に対して、「賃上げは企業の責務だ」と賃上げには前向き。
しかし、労働組合側の代表である日本労働者総連合会(いわゆる連合)側は、賃上げについて「5%程度」を求めているが、これに対しては、企業の構成で中小企業が大半を占めていることと、様々な業種があり、業績も様々。そのため、経団連が具体的な数字での賃上げ取り組みを発言することは、適当でない
との見解を示した。
つまり、「賃上げには取り組んでほしい、でも、無理はしないようにね」ということだ。
④実際何%の賃上げが必要?
岸田首相は一体、どの消費者物価指数の物価上昇率の事を言っているのだろうか?
具体的な数字は言っていないので、真意は測りかねるが、考えられそうなのが、生鮮食品やエネルギーを除いた消費者物価指数なのかなと思われます。
つまり、22年12月分から見ると、コアコアCPIの+3・0%の事だろう。しかし、このくらい賃金上昇率だと、「焼け石に水」だと思います。
更に、連合の掲げる「5%程度の賃上げ要求」これを実現しても、まだ、喜べるような水準ではないと言える。
それはなぜか?①にあげた総務省の公表している「2020年基準 消費者物価指数2022年12月分」の中身をよく見ていると、2ページ目に出ている「10大費目の前年同月比」を見てみると、目を引くのが、「食料」の費目です。
食料全体は+7・0%、
生鮮食品が+4・9%、
生鮮食品を除くと+7・4%
調理食品が+7・3%(唐揚げ+10・4%など)
穀類は+9・6%(あんぱん14・1%など)
生鮮魚介+16・2%(さけ26・7%など)
菓子類+7・6%(ポテトチップス+8・0%など)
肉類+10・0%(豚肉+9・4%など)
油脂10・2%(食用油+33・6%など)
これはほんの一部です。パッと見てあなたならすぐに気が付くでしょう。そうです‼3~5%の賃金上昇では、全然足りないじゃないか、とわかるでしょう。食べることは生きていく上で大事な要素です。食料の+7・0%前後くらいは必要だと言えるでしょう。
⑤まとめ
ご自身の家計が前年同月比でどのくらい増えているかを確認してみよう。ご自身の給与がどのくらい増えてくれたら助かるか考えてみてほしい。食費がどのくらいかかっているか、確認してみてほしい。